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投資初心者から頂いた質問に答える、ヘッジファンドの「地道な」投資の知識と考え方

第17回 大損したとき、まず何をすべきか? 経験のある投資家ほど、多くのことをしている


投資家のAさんより: 普段は問題ないのですが、たまに大きく損をすると、あわててしまい、さらに損失を広げてしまうことがあります。こうならないためには、どうすればいいのでしょうか?


ご質問いただき、ありがとうございます!

おかげさまで、当サイトも多くの質問を頂くようになりました。

その中でも、この質問は、非常に本質的というか、投資を成功させる上で非常に重要なテーマだと、私は主張します。

なぜか?

それは、「どうすれば儲かるか、どうすれば損しないか」を語っているサイトは数あれど、結局投資に挫折してしまったり、想定していた以上の損をしてしまう方が多いのは、なぜか、ということです。

それはおそらく、「損したときに、どう行動すれば良いかを深く考えていないために、さらに損を広げてしまう」ことが、要因の一つではないでしょうか。

逆に言うと、「儲けることが一番の目標であるにもかかわらず、大きな損をしたときの事を考えておく」というのは、とっても大人というか、冷静で余裕のある投資家ではないでしょうか?

私の知っている限り、経験と共に成長するのは、「どうすれば儲かるか」も勿論ですが、それよりも、「損したときの被害をどう抑えるか」の方が、より成長します。

すなわち、損したときどう行動すべきかを深く考えておけば、経験のある投資家に近づくことができます。

ですので、この質問には、いつものように、長くなりますが、詳細に、お答えしたいと思います。

 

まず最初に考えていただきたいのは、投資が成功するのに必要なことは、何だろうか?ということです。

いろいろな考え方があるでしょうし、いろいろな表現方法もあると思います。

その議論はまた別の機会に譲るとして、ここではとりあえず、「正しい方法と、正しいタイミング」ということにして、話を進めましょう。

仮にそうだとして、では、今あなたが使っている方法が正しいか、間違っているかは、どうやって判断するのが良いでしょうか?

これも色々な方法があり、これだけで一冊の本が書けるぐらいです。

また、必ずしも一つの方法だけで判断するとも限りません。

私も複数の方法を利用しています。

ですので、ここでは、私が使っている方法の一つをご紹介します。

それは、「今自分が使っている方法を過去の株価に適用したとき、最も大きなドローダウンが計算できるが、その最大ドローダウンを越えたとき、自分の方法が間違っていると判断する」というものです。

これは決して、違和感のある考え方ではないはずです。

何が言いたいかのかというと、大損したときに、「たまたま買いと売りを間違えただけだよ」で済ますのではなく、「自分の方法論そのものが完全に間違っていたのでは?」と考えてみてはどうか、いうことです。

そうすることによって、「大損という、もっとも避けるべき事態が起きたときに、自分の方法論を進化させることになるので、結果として、大損する確率が低くなるような方法論に進化できる可能性がある」ということなのです。

これは、単に「もっと儲けるための方法論の進化」とは別の意味で、重要な進化であるということが、おわかり頂けるのではないでしょうか。

そして、そのために、損切りラインを明確に数字で設定しておくことが必須です。

そして、それを明確に実行するために、逆指値で置いておくことが、重要なのではないでしょうか。

そして、損切ったあと、正しい投資手法に変更すること。

そのためには、修正しやすく、修正したあとの投資手法が正しいと明確に判断できるような投資手法にしておくことが必要です。

長くなりましたが、「自分の過去の最大ドローダウンを越えるような損失をしてしまったときには、まず方法論そのものを変更すべきではないか」ということです。

 

では、方法論を変更できたとしましょう。

次に大事なことは、なんでしょうか?

それは、変更した正しい投資手法が次の投資タイミングを示すまで、ノーポジでいることです。

しかし、いざ自分が大損してみると、ノーポジでいることは非常に難しいはずです。

なぜなら、損を一刻も早く取り返したいものだからです。

しかし、それは損をさらに拡大することになります。

なぜなら、正しい投資手法が次の投資タイミングを示すまで、投資すると損するからです。

ですので、そのために、私は投資以外のことをします。

私の場合は、外出して食事や買い物をしたり、掃除洗濯をすると、損したことを後悔することが少しずつ心から減って行き、未来の収入を増やすことを少しずつ心に増やすことができます。

これも大事な投資の方法論の一つです。

冷静になるということが、正しい投資を行うための大前提になるからです。

こうして頭を冷やして、コーヒーの一杯でも飲んでいるうちに、次の投資タイミングが来ます。

そこで、いよいよ、新たな投資の始まりです。

 

以上のように、

・まず自分の方法論を修正すること

・次のタイミングまでノーポジで待つこと

この二つが、大きな損をしたときに、重要なことと考えます。

逆に言うと、おそらく多くの方は、

・自分の方法論を修正せず

・すぐに逆のポジションを取ってしまう

はずです。

この結果、どうなるでしょうか。

そして、どちらを選ぶべきでしょうか。

この記事をお読み頂いた方には、その答えは、明らかなのではないかと、思います。

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