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投資初心者から頂いた質問に答える、ヘッジファンドの「地道な」投資の知識と考え方

第6回 「急落時に高配当株を仕込め」は本当か?

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個人投資家のAさんより:投資系の雑誌で、「急落時に高配当株を仕込め」という戦略が特集されていました。これは本当に儲かるのでしょうか?

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質問頂き、ありがとうございます!

 

皆さんは、いつ、どんなきっかけで、どんな銘柄に、投資するでしょうか。一つの例として、「急落時に高配当株を仕込め!」という戦略は、株の雑誌でよく見かけます。しかし、それで、本当に、儲かるのでしょうか?大型株の中で、高配当利回りの日産自動車<7201>を例にとり、検証してみましょう。

 

目次

◆リーマン・ショック後の日経平均の底値圏でも、日産自動車株は下がり続けた!

◆Brexitショックのときは?

◆「急落時に高配当株を仕込め」には、条件があった!

◆まとめ

 

◆リーマン・ショック後の日経平均の底値圏でも、日産自動車株は下がり続けた!

大暴落と言えば、まずはリーマン・ショックを例に挙げざるを得ません。08年9月15日のリーマン・ブラザーズ破綻に端を発し、日経平均は急落。当然、日産自動車株も急落しました。しかし世界的な中央銀行の市場安定策により、日経平均は10月27日に終値ベースで当面の底をつけます。この日の日産自動車の終値は404円、配当予想は42円でしたので、配当利回りはなんと10.4%!「急落時に高配当株を仕込め」を実行するには、まさに絶好の場と考えた方も少なからずいたはずです。

しかし、日産自動車株は下げ止まりませんでした。日産自動車株が終値で底をつけたのは3カ月後の09年2月9日、261円。10月27日の終値からは、実に35.3%の大暴落です。仮に10月27日に「急落時に高配当株を仕込め」を実行したとして、その後35.3%の下落に耐えられた方は、どれだけいたでしょうか?

◆Brexitショックのときは?

一方、直近の例をあげると、Brexitショックのときは、どうだったでしょうか。日経平均が終値ベースで底をつけたのは、ショック当日の2016年6月24日。日産自動車の終値は943.8円でした。配当予想は48円でしたので、配当利回りは5.1%でした。

もしこのとき、「急落時に高配当株を仕込め」を実行していたら、どうだったでしょうか。

約3カ月後        16年9月末(9月30日)終値982.7円    リターン4.1%

約6カ月後        16年12月末(12月30日)終値1175.5円          リターン24.5%

現時点              17年6月22日             終値1070円      リターン13.4%

さらにこれに、配当収入が加わり、リターンはさらに大きくなります。もちろん株価は一辺倒に上がったわけではなく、下落に転じたときもありましたが、終値ベースで最も下がったときでも、11年6月28日の909.4円。6月24日終値からは3.6%の下落で、先程のケースに比べてかなり小さい下落率です。少なくとも、Brexitショックのケースでは、リーマン・ショックのケースより、「急落時に高配当株を仕込め」が機能したと言えるのではないでしょうか。

◆「急落時に高配当株を仕込め」には、条件があった!

では、この2つのケースの差は何だったのでしょうか?

実はリーマン・ショックがあった2008年度の下期、日産自動車は、当初42円支払う予定だった配当を、ゼロ(無配)に変更しているのです。いくら配当利回りで割安感があっても、その根拠となる配当が引き下げられたら、割安と見て買っていた人が、再び売りに転じても、おかしくありません。

逆に、Brexitショックのときは、日産自動車は、当初の予定通り、配当を支払っています。まさに、株価は下落したけれども、配当が予定通り支払われたので、株としては絶好の買い場だったというわけです。

つまり、その会社が配当を減らさないということが、「急落時に高配当株を仕込め」でリターンを取るための条件だったということです。

では、配当を減らさないかは、どうやってわかるのでしょうか?

配当は、当期純利益が原資となります。なので、当期純利益を予想できれば、配当を減らさないか、ある程度予想できることになります。

利益を完全に予想することは、そう容易なことではありません。しかし、最近では、個人投資家が利用できるアナリストレポートも増えてきています。そういったプロの意見を参考にしたり、自らIRに確認したりして、利益予想の精度を少しでも高めることならば、可能ではないでしょうか。

 

◆まとめ

以上をまとめると、株雑誌によくある「急落時に高配当株を仕込め」という戦略は、ただ単純に急落時に買うのではなくて、少なくても、「その会社が減配しないとき」という条件があった方が、有効性が増すようです。そして、配当を予想するには、その会社の利益を予想することが必要です。ファンダメンタル投資の基本はその会社の業績を見定めることなのですから、急落時に慌てて事を起こすのではなく、普段から、その会社の利益や配当をある程度の精度で予想できるよう訓練しておけば、高配当株への投資を有利に進められるのではないでしょうか。

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テーマの著者 Anders Norén