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投資初心者から頂いた質問に答える、ヘッジファンドの「地道な」投資の知識と考え方

第9回 株価暴落時に、どうするのがベストか?

【質問へ回答:暴落時にどうすべきか?】

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サラリーマンのAさんより:

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この質問は、実は、極めて重要です。

ひょっとしたら、他の質問よりも重要かもしれません。

 

当サイトへの質問のほとんどは、「勝つためにはどうすべきか?」という趣旨で、「損したときどうするか?」についての関心は、少ないです。

 

ここでもう一度、重要な現実を認識頂ければと思います。

ネット証券で個人が手軽に株やFXへの投資をできるようになって、口座数は数千万を越えています。

そして、ネット証券が普及してから、既に20年近く経っています。

もし常に勝ち続けられるのであれば、どれだけ元手が少なくても、個人で数十億、数百億円の資産を持つ人が、数百人、数千人は出てきてもおかしくは無いはずです。

 

なのですが、おそらく現実は、そうなってはいないように思えます。

これについての知識をできるだけ豊富に持ち、自分なりに深く考えておくことは、投資のあらゆる面で非常に重要だと思いますので、プロと同じことをして、勝てると思っていないか?で、再度復習して頂ければと思います。

 

何が言いたいかといいますと、勉強を続けるには致命的な損をしないことが必要だ、ということです。

逆に言えば、多くの方が、暴落(もし売りポジションでしたら暴騰)して大きな損をしてからどうするか考えている、と言えるのではないでしょうか。

だとしたら、暴落時の対応をあらかじめ考えておくことによって、かなり高い確率で差をつけることができます。

この質問が重要だと考えているのは、そのためです。

 

では本題に移りましょう。

まず申し上げたいのは、利益を狙うための戦略が変われば、それに対応して、損失を抑えるための戦略も変わる、ということです。

例えば、「株価が100円以上は買い、100円未満になったら損切り」という戦略を持っていて、いろいろな勉強と試行錯誤の末、売り買いが真逆になって、「株価が100円以上は売り」という戦略に変化したとします。

だとしたら、損切り行動は、100円よりも遥かに上、例えば「株価が500円以上になったら売りポジションを閉じて損切り」ということになります。

何が言いたいかといいますと、万人に共通の損切り手法は無い、ということです。

損切りと言うのは、利益を狙う戦略以上に、極めて個人の経験の差が出やすい領域なのです。

 

ですので、私が以下お話するのも、かなり個人的な体験に基づいたものになります。

そこをご了承の上、「ふん、そんなこともあるのか」程度で読んで頂けますと幸いです。

 

まず私が損切りの際に思うのは、「どうやら私の戦略は間違っていたようだ」ということです。

「戦略が間違っているので、今のポジションを続けると、損失がどこまで拡大するかわからない。なので、戦略を変更・修正するために、今のポジションを切るのは当たり前だ」と考えます。

当たり前のことを言っているように見えますが、これは私自身の性格上、こう考えると損切りをしやすいのです。

なぜかと言うと、「ただ単に損が大きくなったから」よりも、損切ったあと、現在の間違った戦略を変更・修正できますので、将来的なリターンの向上が見込めるからです。

人により程度の差はあれ、損切りをするとほとんどの人は心理的ダメージを受けますので、それをおさえるためには、「今切ることがプラスになる」と考えることが有効であるように思います。

 

では、「どうやら私の戦略は間違っていたようだ」は、どのように判断するのでしょうか。

私は、「現在の戦略であり得る最大の損失」を越えたときに、「戦略が間違っていた」と判断します。

もし移動平均など通常のトレンドフォロー戦略を用いた場合、トレンドライン周辺で損切りラインを決めることが多いので、私の考え方とは少し異なるかもしれません。

 

ですので、私にとっては、「現在の戦略であり得る最大の損失」を計算しておくことが最重要で、それさえ計算しておけば、損切りラインは明確に決まります。

この「損切りラインが明確に決まる」というのは極めて重要です。

よくある失敗は、「損切りラインを決めてはおいたが、いざ実際にそうなってみると、やっぱり損を切れなくて、ポジションを引っ張ってしまい、さらに損失が拡大した」というパターンです。

 

決めておいたのに、守れない。

それがなぜかを考えることが重要です。

私は、その理由は、損切りとは、知識や技術だけでなく、感情が入ってくる割合が比較的大きい行動であるから、と考えています。

 

だとすると、決めておいた損切りラインを守るためには、そのラインを決めたあなた自身がどれだけその行動に納得しているか、で決まると言えます。

 

さらにもう一つのパターンは、「逆指値などで損切り行動を設定し、強制的に執行したが、損切りした後で間もなく、自分がもともと持っていたポジションが儲かる向きに株価が動き、慌ててポジションを取り直した。そうしたら間もなく株価が再度逆に動き、さらに損失が拡大した」というものです。

 

何が言いたいかというと、損切りというのは、「いつどこで切るか」よりも、「損切った後何をするか」を決めるのが重要なのではないか、ということです。

 

この全てのポイントを抑えることが損切りにおいては重要で、私にとって現在の最適解は、「戦略そのものが間違っていると判断したときに損切りする」ということです。

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