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投資初心者から頂いた質問に答える、ヘッジファンドの「地道な」投資の知識と考え方

第4回 ファンダメンタル分析とは

【質問へ回答:勝てるファンダメンタル分析とは?】

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個人投資家のAさんより: ファンダメンタル分析とは、何でしょうか?どうやってしたら、勝てるでしょうか?

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質問頂き、ありがとうございます!

 

・一般的なファンダメンタル分析を、一通り説明します

まず、一般的なファンダメンタル分析とは、どんなものでしょうか。

 

私は、この一般的なファンダメンタル分析を、否定するつもりは全くありません。

全ての基本であるからです。

もしコレで勝てるのであれば、あなたにはこの方法で勝つ才能がある、ということに他なりません。

しかし、やってみるとわかるのですが、コレで勝つのは至難の技です。

では、どうやればファンダメンタル分析で差を付けることができるのか。

それを説明しましょう。

その大きなヒントは、「なぜ世の中の多くのファンダメンタル分析でなぜ勝ちにくいのか」を本質的に理解することで得られます。

 

・世の中の多くのファンダメンタル分析は、結局、現状の延長をしているに過ぎない

 

・現状の延長による投資は、現状が続いているうちは儲かるが、現状が急変したときに、その儲けを打ち消すぐらいの大きな損失を出す可能性がある

 

・それならば、ファンダメンタル分析で儲けるためには、「現状の分析・延長」ではなく、「現状が大きく変わるとしたらどう変わるのかの予想」をすればいい

 

・「疑問を持つ」ということ

そのための方法は、実は、向き不向きがあります。

なぜかと言うと、人に勝つ、人に差をつけるということは、「自分の能力で人に勝っているところ」で勝負しなければならないということで、「自分の能力で人に勝っているところ」は人それぞれだからです。

ですので、以下に示す方法は、必ずしも万人向きのものではない、ということはご理解下さい。

逆に、以下に示す方法でやると、今よりもさらに負けてしまう方がいらっしゃっても、それは全く不思議なことではありません。

あくまで、私自身に向いた方法であり、それをご紹介する、という趣旨であることをご理解下さい。

私が人に劣っていると思う部分は、要領の悪さです。

人が言っていることを鵜呑みにできず、自分で理解しようとする。

理解力が低いのかもしれません。

逆に言うと、人が疑問に思わないようなことにも、頭にひっかかってしまい、疑問を持つことがあります。

ですので、私はこれを前向きに生かすことにしています。

具体例を示しましょう。

これを執筆している2018年1月1日現在、私が「おかしいな」と思っていることは、以下の通りです。

 

・時間が経てば経つほど北朝鮮の戦力は上がって行き米国への危険は増すのに、どうして米国は北朝鮮の戦力向上を妨げるような行動を起こしてこなかったのか

 

さて、先程の質問への仮説ですが、これは結局、「もう既に昨年の時点で米国への危険が大きすぎて行動できなかった」という仮説を、私は持っています。

だとすると、どういう投資行動につながるでしょうか?

 

最もシンプルなのは、「戦争が起きるかもというニュースで下がったら買い」というものが、あります。

他にもいろいろな投資行動が考えられますので、これは皆さんがお考えになって頂ければと思います。

 

おそらく、この疑問への答えを出すのは、難しいと思われます。

ですが、別に答えを出す必要はありません。

なぜなら、この疑問への答えを持っているのは、究極的には世界で数人しかいないはずだからです。

その数人になれないのなら、仮説で十分です。

逆に言えば、答えがなく、仮説しか出せないような疑問は、投資家にとって良い疑問である可能性があります。

なぜなら、その答えが出るまでは株式市場はその答えを完全には織り込まず、答えが明らかになった瞬間に、大きく株式市場が動く可能性があるからです。

 

・もし戦争の可能性が低いとすると、次に警戒すべき「大きな変化」は何なのか?

一つ目の疑問に仮説としての答えを出すと、次にこの疑問が浮かび上がってきます。

なぜこれが重要かと言うと、「一つ目の疑問があまりに大きいがゆえに、二つ目以下の疑問のインパクトが無視されていることが多い」からです。

2018年1月現在では、これは、「米大統領は辞任するのか?」が挙げられると思います。

もし米大統領が辞任すると、外交、金融政策が大きく変化します。

おそらく、株式市場にはマイナスの方向に。

だとすると、より本質的な疑問は何でしょうか。

それは、「もし自分が米大統領だとしたら、辞任の可能性を下げるために、どのような行動を起こすだろうか?」という疑問ではないでしょうか。

・敵対勢力を妨害する

・金融政策で国民の支持率を上げる

これは当たり前のことで、既に行われています。

ですので、これを行っても、辞任の可能性を下げることにはなりません。

 

では、これからさらにできることは、何があるでしょうか。

それは、

戦争の可能性を今までより大きくあおる

・今までの金融政策で恩恵を十分受けてきた大企業に対して、その恩恵を一時的に削り取るような政策を打ち出す

 

何が言いたいかというと、今までは、戦争の危険性が報道されたら買い、というトレードが成立してきたように、私には見えます。

ですが、私の個人的な考えでは、戦争の危険性が低いということは、もう既に、市場に十分織り込まれています(この根拠については、また別の機会に説明します)。

ですので、これから、戦争の可能性を今までより大きくあおったり、恩恵を受けてきた企業の利益を削るような行動を起こすと、それは株式市場に、想定以上にマイナスにとらえられる可能性があるのでは、ということです。

 

それでは、こういった疑問と仮説を持った上で、いよいよファンダメンタル分析に移りましょう。

こういった「織り込まれていない大きな変化を予見し得る疑問」を持った上で行うファンダメンタル分析と、そうでないファンダメンタル分析には、大きな違いが出て来ることは、おそらく読者の皆様にもおわかりなのではないかと思います。

 

・投資戦略の大きな方向性をどうすべきか

まず市場リスクを取るのか、取らないのかという決断があります。

市場リスクを取るとは、日本株であれば、ベンチマークである日経平均やTOPIXなどが自分の想定した向きに動いたときに儲かるようなポートフォリオを組む、ということです。

逆に市場リスクを取らないためには、ベンチマークが動いても基本的には同じ向きに同じだけ動く可能性が高い銘柄2つを探し出し、一つを買い、一つを売りにする、いわゆるロング・ショートです。

ロング・ショートをするのであれば、この項目は飛ばして頂いて結構です。

では、市場リスクを取るのであれば、買い、売り、どちらがいいでしょうか。

 

もし、

・戦争の可能性が低く、米大統領の政策によって大企業が大きな恩恵を受けることが十分に織り込まれている

・米大統領が辞任を避けるために、戦争の可能性をより大きくあおったり、大企業の利益が減るような政策を打ち出す

という仮説が正しければ、私ならば売りで考えます。

 

・銘柄選びはどうするか?

一つの方向性は、ほぼ自明でしょう。

上記の戦争の可能性や、打撃を受けやすい企業を売る、ということです。

 

もう一つの切り口は、「関係ないのに上がってきたものを売る」という方法です。

上げ相場の序盤では、情勢や政策の恩恵を最も受ける銘柄や、市場支配力を持ち景気好転で最も先に大きく利益を伸ばすような優良企業の銘柄が上がります。

「バフェットが好む銘柄」と言えば、わかりやすいでしょうか。

中盤では、いわゆる普通の企業の銘柄が、景気好転というキーワードで、上がり始めます。

そうして、いわゆる「手の出やすい」銘柄が全て買い尽くされたら、どうなるでしょうか。「全然関係ないし、業績もまともでないけど、もうこれぐらいしか残っていない」という銘柄が上がり始めます。

これは、上げ相場の終盤に起こり得る現象です。

 

逆に言うと、もし下げ相場に転換すると、どんな銘柄が最も下がるでしょうか。

それは、この「全然関係ないし、業績もまともでないけど、もうこれぐらいしか残っていない」銘柄である可能性があります。

なぜかと言うと、個別の裏付けがあまり無く、他にないからという理由で買われてきたからです。

ここが狙い目ではないでしょうか。

 

では、こういった銘柄を選び出すためには、どうすればいいでしょうか。

ここで遂に、「ファンダメンタル指標」の出番です。

 

当サイトの検索数では、損益計算書、配当利回り、自己資本比率、ROE、といったワードの検索数が多いのですが、まさに今回、効果を発揮する指標があります。

 

「全然関係ないし、業績もまともでないけど、もうこれぐらいしか残っていない」銘柄なのですから、まず私でしたら、自己資本比率を見ます。

なぜなら、損益計算書(PL)はその一期間の業績に過ぎませんが、貸借対照表(BS)は、数期間のPLの結果であり、その企業の「まとも度」をより大きく反映している可能性があるからです。

この視点を持った上で、自己資本比率を計算し、他の企業と比較し、候補となる銘柄を選び出してみましょう。

 

ではその選び出した銘柄の中で、さらに優先順位を付けるとすると、どうすればいいでしょうか。

ここで、私でしたら、利益の推移、配当の推移、利益率やROEの推移を見ます。

なぜなら、こういった利益や配当の推移を見れば、上げ相場から下げ相場、または景気拡大期から縮小期、に転じたときに、利益や配当がどう変化してきたのか、その企業の「変化の仕方」がわかるからです。

たとえば、自己資本比率が低くても、意外と利益や配当が、景気縮小期に耐久性を持っている企業があるかもしれません。

それよりは、自己資本比率が低く、景気縮小期に利益や配当が大きく減るような企業の方が、今回の戦略の趣旨に合っていることは明らかです。

この視点を持った上で、利益の推移、配当の推移、利益率やROEの推移を計算し、他の企業と比較し、候補となる銘柄を選び出してみましょう。

 

以上のような考察を踏まえると、「結局現状が続くという結論のもとで行うファンダメンタル分析」では、勝ちにくいばかりか、現状が大きく変化したときに、コツコツ稼いだ利益を吹き飛ばしてしまうぐらいの損失をドカンと出してしまう可能性があることは、おわかり頂けると思います。

それよりはむしろ、「疑問を持つ」ことによって、「現状が変わるとすれば何が変わるのか」という仮説を次々と導き出し、その仮説の上で、相場を予想し、投資戦略の大きな方向性を立てる。

そこまで考えた上で、いろいろなファンダメンタル指標を使ってみる。

この方法の方が、勝ちへの可能性を少しでも増すと私は感じております。

皆様のご意見を頂けますと、幸いです。

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テーマの著者 Anders Norén